カーディーラー業界のデータ活用

本記事ではカーディーラー業界の3つの課題から解決策、CDPによるデータ活用について紹介します。

カーディーラーは主に自動車を小売する事業で、メーカーと特売契約を結んだ正規ディーラーと、ディーラーから車を仕入れて販売するサブディーラーがあります。それぞれ新車販売、中古車販売、自動車整備などのアフターサービス・部品販売で事業が分けられますが、本記事ではカーディーラー全般のデータ活用について紹介します。

カーディーラー業界における課題

カーディーラー業界における主な課題は3つあります。

少子高齢化に伴う生産人口減少や若年層の車離れ

日本における2020年度の自動車販売台数は新車販売は約459万台中古車販売は約334万台でした。新車販売台数は前年比11.5%減で2年連続のマイナスであり、4年ぶりに500万台を割るという結果となりました。2019年10月からの消費税増税や新型コロナウイルスが影響していると考えられます。
これらの要因を除き、日本では今後、次のような市場環境の変化が加速し、車が売れない時代が来ると考えられます。

  • 少子高齢化に伴う人口減少
  • 都市部における若年層の車離れ
  • カーシェアリングの普及  など

2020年の新車販売台数の減少に対して2021年は売上が回復しているというデータもありますが、株式会社三井住友銀行による「国内自動車ディーラーを取り巻く業界動向」の2019年に発表されたレポートでは、2030年には国内の新車販売数は2018年比で2割減少する見込みです。

商談から成約までのパイプラインが分断していて流れの評価ができていない

自動車販売の新規顧客獲得のプロセスにおいては、各地域での認知を高めておき、情報収集や試乗を目的として直接来店した顧客に対して商談を進めていく流れが多いかと思います。

近年ではインターネットの普及により、事前にwebサイトで情報収集を行ってから来店する顧客行動は業界を問わず増えています。また、新型コロナウイルスの影響もあり、事前にwebや電話での来店予約を促しているディーラーもあります。

商談の際の顧客管理の観点では、顧客情報やアンケートを紙で管理しておりデータ化されていないケース、これらの紙で管理されている情報とデータ化できている情報が紐付けられていないケースも多く存在しているかと思います。
自動車販売において顧客の事前の情報収集から商談化、商談から成約までのプロセスにおいてデータとして分断されており、一連の流れとして評価できていないケースが少なくありません。

結果として、投資対効果の優れるチャネルの見極めがデータに基づかない感覚的なものとなってしまっている、良い商談プロセスの評価や悪い商談プロセスの評価ができていないといった課題が存在します。

アフターサービスの利用率の低下による収益の減少


引用元:株式会社三井住友銀行「国内自動車ディーラーを取り巻く業界動向

新車ディーラーの自動車販売の一社平均の売上高は約80%を占めているものの、粗利でみると約50%です。一方で車検・修理などのアフターサービスの売上高は約20%に対して粗利が約50%を占めています。つまり、多くの新車ディーラーがアフターサービスを収益源としていると考えられます。
しかし今後、アフターサービスなどの整備収益が減少する可能性があると予想されています。

1つ目に今後の自動車業界は電気自動車の普及が進む見通しです。電気自動車は点検する部品数が通常のエンジン車と比べて部品が3割少なく、またより高度な整備ノウハウも必要になるため以前よりも人件費がかかってくると予想されます。
2つ目に自動車技術の向上により事故件数が低下すると予想され、補修整備の減少に繋がる可能性があります。

上記の背景のみでなく、すでに顕在化している課題としてアフターサービスの際にはカー用品専門店に流れてしまう点があります。

収益源を減らさないためにも、自社で購入してもらった自動車のアフターサービスを継続的に受けてもらえるよう既存顧客と長く付き合っていく必要があります。

カーディーラー業界における課題の解決策

市場環境の変化に対する施策

人口減少や車離れによる市場環境の変化で車の需要は低迷傾向ではありますが、当然ながら他のディーラーと差別化を行い競争力を高めることが重要です。

既存顧客に対しては継続的に自社で購入してもらえるようサービスの拡充や、適切なコミュニケーションを行うと言ったカスタマーエンゲージメント観点での取り組みが重要です。

企業は顧客のニーズをキャッチしてweb、実店舗を含むすべてのチャネルで顧客にとって価値のあるコンテンツを提供することが大切です。そのために、「年齢」「家族構成」「職業」「年収」「オンライン上の行動」などの顧客データを収集して管理し、顧客一人ひとりの詳しい個人プロファイルを作って顧客の理解を深め、顧客のニーズにあった施策を実施していくことが欠かせません。

また今後、大きく市場環境の変化していくことを見据えると、DX(デジタルトランスフォーメーション)を検討したり、ビジネスモデル全体を見直す必要が出てくると思います。多くの企業が取り組んでいくであろうDXについて、「守りのDX」と「攻めのDX」の違いや、「攻めのDX」の課題やソリューションの事例やどのようにして「攻めのDX」を推進していくべきかをご紹介した記事がありますのでご覧ください。

▼攻めのDXについての詳細は、下記の記事をご覧ください。
「攻めのDX」とは ~「守りのDX」と「攻めのDX」の違い~

統合データによる顧客の分析、評価

集客における投資対効果の優れるチャネルの見極めや商談のプロセスの改善には、顧客の事前の情報収集から商談化、商談から成約までのプロセスを評価するためにデータで管理、データを活用することが重要です。
データ活用を促進するためには、さまざまな接点に点在する情報をもとに、一人ひとりの顧客のデータを作る必要があります。

データを統合するには、単に何らかのシステムを導入するだけでは解決せず、各データを統合できるようにするためのKeyとなる情報を持っておく必要があり、場合によっては情報の取得方法を見直す必要があります。各データを統合するためのKeyとなる情報は、例えばメールアドレス、携帯電話の番号などが挙げられます。Keyとなる情報は各接点で取得できるように整備する必要があります。

特に、紙で管理している顧客情報やアンケートなどはKeyとなる情報が取得できていないケースが多かったり、業務オペレーションの観点でも追ってデータ入力という業務が発生するなどの問題が少なくありません。どこから取り組むのかという観点はあれど顧客のスマートフォンや、店舗で用意したタブレットやPCの利用ができるとより良いでしょう。また、来店予約などでKeyとなる情報をweb上で取得できていればオフラインのデータとオンライン上とのデータ統合も可能で、自社のwebサイトのアクセスデータや広告配信のデータも含めた過去の行動をも含めて利用できます。

アフターサービスの収益を高める施策

アフターサービスの収益を維持、高めるためには顧客がアフターサービスをカー用品専門店など他の店舗に流れてしまわないように、関係を良好に保つ適切なコミュニケーションを行う必要性があります。

オンライン・オンラインも含めて顧客情報を一元管理ができていれば、顧客のwebサイトのアクセス・各種接点の情報・成約時にアンケートなどで取得した情報を利用したセグメントを作成し、顧客の状態に合わせた電話でのフォローや適切なメール配信やダイレクトメッセージの送付、来店時の適切なフォローが可能になります。

また、車の買い替え周期は国内平均で約8.72年あり、アフターサービスを含めてこの長い期間の関係を維持できれば、買い替え時に再度自社を選んで貰えたり、家族のライフステージにおける新たな新車の購入に選んでもらえます。

カーディーラーでは、小物の販売や車検のみを行うカー用品専門店と比較して、購入したディーラーの店舗には顧客のさまざまなデータがあることが強みであることは明らかであり、これらのデータを用いて、顧客とのLTV(ライフタイムバリュー)向上を図り、適切なコミュニケーションを行い収益を高めていくことが大切です。

カーディーラー業界がアプローチを成功させるCDPでのデータ活用

顧客理解を進めたり、また顧客や商品データを一元管理するためには、顧客データ基盤を整える必要があります。顧客データ基盤は自社で構築することも可能ですが、その顧客データ基盤として、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)も1つの手段です。

CDPとは「カスタマーデータプラットフォーム」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤です。

▼CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?メリットや活用例も紹介

顧客データを一元管理

CDPは、オンライン・オフラインでバラバラになったデータ、webトラッキングデータ、カタログ請求・試乗予約情報、試乗後・来店時のアンケート、商談のデータ(CRM)、契約、契約後の利用データなど、顧客に関するすべてのデータを収集し「実在する個人」にデータを紐づけて顧客データを一元管理できます。

たとえば、webサイトやSNS、メルマガ、商談のデータ(CRM)などそれぞれのチャネルごとに顧客管理システムを持っており、1人の顧客に対して別々の顧客IDを割り振り、別人として管理されているケースが多々あります。また、このようなデータがシステムや部署ごとに分断されて管理されている「データのサイロ化」が起きているケースは多く見られます。

▼サイロ化について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
攻めのDX推進を阻害する”データのサイロ化”の問題と解決方法

CDPを導入することで、IDを1つにして複数のチャネルで収集した顧客データを統合し、1人の顧客として分析できるようになります。また、データを一か所に収集して分析するだけでなく、成約に至らなかったボトルネックを明らかにすることができます。

行動データに基づくセグメント配信

CDPは顧客一人ひとりのデータを管理画面で集計し、セグメントや分析データとして利用できます。 直感的に使いこなせる操作画面なので、SQLやエクセルで行っていたセグメント作成が簡単にでき、セグメントの洗い替えも自動で行えるようになります。
web上での行動内容や行動量といった「行動データ」に基づくセグメント配信も可能です。

CDPを利用しカスタマーエンゲージメントを高める

CDPは顧客データを一元管理、分析(BIツール)との連携以外にも、施策を行うツール(MA、プッシュ通知、web接客ツールなど)に連携でき、分析した結果をもとに顧客に対して適切にアプローチを行い、顧客との適切なコミュニケーションを実現します。

まとめ

カーディーラー業界の顧客データ活用について紹介しました。

EVERRISEでは、CDP「INTEGRAL-CORE」の提供のみでなく、その前段階のデータ活用基盤構築のためのコンサルティング、自社の基幹システムを含めた各種システムと連携を行うための開発も行っています。

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