LTVとは?~LTV向上に必要なポイント~

近年のマーケティング活動においては新規顧客の獲得のみでなく、既存顧客との関係性の維持に注力する企業が増えてきています。そこで注目されているマーケティング指標が「LTV」です。

多くの場合において新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持に比べて大きくなるため、既存顧客のLTVを高めることがより利益が出やすく、企業の利益の安定化につながります。

本記事では、LTVとはなにか、LTV向上のポイントを詳しく説明するとともに、LTV向上を阻害する要因から、LTV向上につながるソリューションまでを紹介します。

LTVとは

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす価値を表したマーケティング指標です。
LTVが注目されるようになったのは次のような背景があります。

  • 多くの国内市場が成熟し、新規顧客獲得のコストが増大しているため
  • 少子化による人口減少を背景に市場自体が小さくなり、一人の顧客と継続的な関係を築き利益を上げることが求められているため
  • デジタル技術の発展により、顧客単位でパーソナライズが可能になり、コストやLTVの把握が可能になったため

このような背景から、LTV向上施策を行ったり、検討したりしている企業が増えています。

LTVの計算方法

LTVの計算方法はいくつかありますが、代表的な計算方法として次のような計算式があります。

  • LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間
  • LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間−(新規顧客1人あたりの獲得コスト+既存顧客1人あたりの維持コスト)
  • LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数

それぞれの考え方や計算方法について説明します。

LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間

すべての顧客の平均値をもとにLTVを割り出す基本的な計算式です。
例えば、ECサイトで次のような状況だとすると

  • 1注文あたりの平均購買単価が15,000円
  • 収益率が30%
  • 1年間の顧客1人あたりの購買頻度が平均4回
  • 継続期間4年(年間25%の顧客が離反=1人の顧客の継続期間は1÷0.25=4年)

LTVは、15,000(円)×30%×4(回)×4(年)=72,000円です。
つまり顧客を1人獲得すると72,000円の利益を見込めます。

LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間−(新規顧客1人あたりの獲得コスト+既存顧客1人あたりの維持コスト)

新規顧客の獲得や既存顧客の維持に必要なコストを考慮するLTVの計算方法です。
例えば、ECサイトで次のような状況だとすると

  • 1注文あたりの平均購買単価が15,000円
  • 収益率が30%
  • 1年間の顧客1人あたりの購買頻度が平均4回
  • 継続期間4年(年間25%の顧客が離反=1人の顧客の継続期間は1÷0.25=4年)
  • 新規顧客1人あたりの獲得コストが10,000円
  • 既存顧客1人あたりの維持コストが2,000円

LTVは、15,000(円)×30%×4(回)×4(年) -(10,000(円)+2,000(円))=60,000円です。

LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数

1社あたりの収益・利益を算出する方法です。
例えば、ある企業で次のような状況だとすると

  • 年間取引額が600,000円
  • 収益率が40%
  • 継続期間が4年

LTVは、600,000(円)×40%×4(年)=960,000円です。

LTV向上がなぜ重要なのか?

ここではLTV向上を目指すことの重要性について説明します。

安定した収益を生み出す

出典が不明ではありますが、マーケティングや経営戦略を語る際に、しばしば引用される「1:5の法則」より、新規顧客に販売するコストは、既存顧客へ販売するコストの5倍ものコストがかかると言われています。
また、市場の成長期は安いコストで新規顧客を獲得することができますが、成熟した市場においては新規顧客獲得が難しくなるため、企業が安定した利益を創出するには、既存顧客との関係性が重要になります。
そのため企業は既存顧客に対して、どのようにアプローチしていくかが重要になっていきますが、その際にLTVの指標が役立ちます。

顧客との関係性

LTVが高い状態とは、既存顧客との良好な関係性築いている状態であるため、LTV向上は企業にとって重要な取り組みです。
既存顧客から選ばれる、満足度の高い商品やサービスを提供し、顧客との信頼関係を構築していくことが大切です。

LTVを高めるためのポイント

計算式のそれぞれの要素を改善することで顧客のLTVを高めることができます。一方で、LTVを高めるための改善ができたとしても、その施策にかかるコストや新規顧客の獲得にかかるコストがかさむと、利益幅を大きくすることはできません。獲得・維持コストを抑えることも含めて、LTVを高めるためのポイントを説明します。

購買単価を上げる

購買単価を上げる最も単純な方法に、製品・サービスの単価を上げる方法があります。しかし、顧客のニーズに対して納得感がない値上げは、顧客離れにつながり、他社に流れてしまう可能性があるので注意が必要です。
製品やサービスの単価を上げる以外で、顧客に対して購買単価を上げてもらうための提案に次のような方法があります。

  • より高額な上位の製品やサービスを購入してもらう
  • 関連商品を一緒に購入してもらう
  • 購入する商品の数を増やす など

注意しなければならない点として、顧客のニーズに一致しているか、また、製品やサービスに対してのエンゲージメントが高い状態であることを見極めたうえで、コミュニケーションを行うことが重要です。あまり興味のない製品やサービスを提案することによって、顧客に「鬱陶しい」と思われてしまうと、購入の機会を逃がしたり、離脱の原因にもなりかねないので注意が必要です。

購買頻度を増やす

購買頻度を増やすためには、顧客との接触回数を増やし、適切なタイミングで訴求を行うのが効果的です。具体的な方法として、顧客に対して定期購入やリピート化を促すステップメールなどが有効的です。また、製品やサービスを定期的に思い出してもらうためのプッシュ型のコミュニケーションなどがあります。

顧客に対して購入頻度を上げてもらうコミュニケーションは、ある程度、その製品やサービスに対して信頼度やエンゲージメントが高まった段階でアプローチを行いましょう。

継続利用率を向上させる

製品を利用されなくなったり、自社の店舗やECサイトで購入されなくなったりなどの離脱、また、サブスクリプション型サービスにおいては解約など防ぎ、いかにして継続利用してもらうかは重要です。離脱・解約を防ぐためにはデータを基にした分析で離脱や解約率を下げるための施策を行うことが大切です。

離脱や解約率を下げるための施策を実施する際に勘に頼るのではなく、BIツールなどを用いて離脱する顧客に共通する特徴をデータから分析を行い、データに基づいた仮説を立てて施策を実施、対策を行いましょう。

既存顧客の維持コストを下げる

購買単価、購買頻度、継続利用率の改善を行い、LTVが向上したとしても、一連の施策におけるコストがかさめば利益幅を大きくすることはできません。コストを抑える方法として、一連の施策のオペレーションや業務の効率化を行いながら、費用対効果の高い施策に寄せて行くことが大切です。

LTVを高めるツール

ここまでLTVを向上させる重要性やLTVを高めるポイントについて説明しましたが、LTVを改善を進めようとしても、ハードルが存在するのも事実です。この章ではLTVを高めるときに役立つツールを紹介します。

CRM・MA

既存顧客の購買単価や購買頻度を増やしてLTV向上を目指すには、大量の顧客データを管理し、顧客の多種多様なニーズや動きを把握しながらアプローチしなくてはなりません。これら顧客情報を管理し、効率的にマーケティング活動を実施する際に有効なツールにCRMやMAがあります。

CRMは、既存顧客情報や顧客接点に関する情報を管理し、顧客との良好な関係を保つためのツールです。顧客の属性や過去の購買データから、提案の内容やそれに対する反応まで、自社と顧客とのコミュニケーションを記録することができます。これらの情報をもとに、顧客の状況を把握し、適切なアフターフォロー・サポートの提供が行えます。また、サブスクリプション型のサービスにおいては、解約可能なタイミングを見逃し、解約になってしまうケースもあるため、顧客の状況をCRMで管理することで適切なタイミングで訴求を行うこともできます。LTV向上には顧客の状況を見極める必要があるため、CRMで顧客を管理しながらアプローチや訴求を行うことで、顧客と良好な関係を築くことでLTVを高めることができます。

一方、MAは、主に顧客の管理や育成を効率的に行うために活用するツールです。LTVを向上させるには、既存顧客とのOne to Oneマーケティングが欠かせないため、顧客に対して最適なコンテンツを、最適なタイミングで届けることができるMAはLTV向上には有効的なツールといえます。
例えば、製品やサービスの興味関心を高めるためのメルマガ配信や顧客が取ったアクションをもとに自動でメールを配信するなどを設定できます。これまで人の手で行ってきた業務をMAを用いることで、効率化によるコスト削減や正確なマーケティング活動を実施できます。しかし、自動化の設計ミスによって適切なタイミングでコミュニケーションを取れず、顧客に対して嫌なコミュニケーションを行ってしまうケースもあるので、MAの設計には注意が必要です。

web接客ツールなどのコミュニケーションツール

web接客ツールなどのコミュニケーションツールは、購買単価や購買頻度を高めるための営業・マーケティング用途と、満足度向上や顧客対応の効率化につながるカスタマーサポートでの用途と2つあります。

営業・マーケティング用途では、顧客が自社のwebサイトを閲覧中に興味の高そうな商品をレコメンドすることによって購入を促すことが可能です。
カスタマーサポートでの用途としては、チャットボットを設けることによって、顧客が探している情報やサポートを瞬時に提供ができれば満足度も高まり解約や離脱の改善につながります。LTVを向上させるには、高いカスタマーエンゲージメントが必要なため、顧客に喜ばれるコミュニケーションやパーソナライズされた情報提供を行うようにしましょう。

LTV向上の施策を阻害する要因

顧客のLTV向上のためにさまざまな施策を行っていくかと思います。たとえば、コミュニケーションツールを導入しメルマガやプッシュ通知を行ったり、CRMの顧客データもとに施策を検討し、webサイトの改善、SNSを運用などを行うなど、ツールごとに部分最適を行っていくことになるかと思います。

それぞれのツールで部分最適になっている状態だと、結果として顧客にとってよくないコミュニケーションを取っているケースが多く、たとえば、商品購入後にメルマガやプッシュ通知で割引のクーポンを配布してしまうなどがあります。

これらはそれぞれのチャネルごとに顧客管理システムを持っており、一人の顧客に対して別々の顧客IDを割り振り、別人として管理されていることにより発生します。また、このようなデータがシステムや部署ごとに分断されて管理されている「データのサイロ化」が起きているケースは多く見られます。

▼サイロ化について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
攻めのDX推進を阻害する”データのサイロ化”の問題と解決方法

顧客との良好な関係を保ちながらLTVを最大化するためには、複数のチャネルで収集した顧客情報を一か所にまとめる顧客データ統合基盤が必要です。

▼データ統合に必要な仕組みについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
データ統合に必要な仕組み Data Lake / ETL / DWH とCDPの構成

LTV向上に有効なソリューションの一つにCDPでの顧客データ活用

顧客データ統合基盤は自社で構築することも可能ですが、その顧客データ基盤として、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)も有効な手段です。

CDPは、あらゆる顧客のデータを収集・統合し、データを活用できる環境を整えるマーケティングシステムです。また、さまざまな外部ツールに連携することができます。

CDPの導入によって顧客データを一元管理できるので「誰が・いつ・何をした」という情報だけでなく、顧客はなぜ購入したのか?なぜ他企業を選んだのか?という顧客インサイトを突き詰めていくことができ、そのうえで「顧客目線」のコミュニケーションを実施できます。CDPは顧客理解を深め、顧客と良好な関係を保てるので、LTV向上にも役立ちます。

▼CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは?メリットや活用例も紹介

まとめ

LTVとはなにか、LTV向上のポイントを詳しく説明するとともに、LTV向上を阻害する要因から、LTV向上につながるソリューションまでを紹介しました。

EVERRISEでは、CDP「INTEGRAL-CORE」の提供や、その前段階のデータ活用基盤構築のためのコンサルティング、自社の基幹システムを含めた各種システムと連携を行うための開発も行っています。

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