CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは何か?

こんにちは、野口です。
CDP(カスタマーデータプラットフォーム)という製品をご存知でしょうか?

CDPは比較的新しい言葉で、各サービスごとに定義や機能も異なります。また、DWH、DMP、CRMやMAなどの既存のサービスや製品と競合する部分もあり、世界的にもまだ定義が曖昧な部分があります。

今回は日本でも最近少しずつ耳にするようになったCDPについてまとめます。
(※本記事はアドテクブログの2018年1月30日の記事をリライトしたものです。)

【こんな方を読者として想定しています】

  • 「そもそもCDPが何なのかわからない」
  • 「CDPの機能が知りたい」
  • 「DWH、DMP、CRM、MAなどとCDPとの違いがわからない」

CDPのはじまり

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は日本語に訳すと「顧客データ基盤」です。

もともとは技術アナリストのDavid Raabらが、様々なマーケティングシステムが互いに接続されておらず、不完全なデータを提供したり、効果的に機能しないことを問題に感じ、統一された顧客データベースの必要性を提唱したのがCDPの始まりと言われています。いくつかの記事によると2013年頃からその様なアイデアをもっていたようです。

顧客とのタッチポイントが増えたことで飛躍的に増加する「顧客データ」に特化し、複数のシステムを相互接続するプラットフォームであるCDPは「次世代の顧客データベースエンジン」と言えます。

2016年11月にはRaab氏らといくつかのCDPベンダーによって、CDP研究所(Customer Data Platform Institute)が設立されました。米国では既に70社を超える企業が協会に所属をしており、2023年には3,700億円(現在の約3倍)まで市場規模が拡大すると言われています。2018年10月には当社も日本企業として初めて米CDP協会に加盟いたしました。

CDPが必要になった背景には、2つの事象があります。

1つは、個人所有のデバイス増加とインターネット環境の成長により、個人に関するデータが爆発的に増え始めたこと。この潮流は5G / IoTといった技術革新を背景に、今後も爆発的に進んでいくと考えられています。

もう1つは、取得したデータを扱うマーケティングツールが乱立し、それぞれが別々の顧客マスターを持ってしまい「データのサイロ化」が発生していることです。

CDPの定義

CDP研究所にある、「CDPの定義」は以下の通りです。

A Customer Data Platform is packaged software that creates a persistent, unified customer database that is accessible to other systems.

CDPは、他システムからアクセスが可能で、永続的かつ統一された顧客データベースを作成するパッケージ化されたソフトウェアである。

実は、この定義は2018年8月に改定された新しい定義です。
それまでは下記のように「マーケティング部門が管理活用するシステム」としていました。(2018年7月までの定義)

A Customer Data Platform is a marketer-managed system that creates a persistent, unified customer database that is accessible to other systems.

「CDPとは、マーケティング部門が管理活用するシステムであり、永続的で統合された顧客データベースであり、他システムからアクセスができるものである。」

しかしこの表現には、大きく2つの問題があり、Rabb氏が提起していました。

 ① CDPはマーケターだけが使うものではなく、組織で共有して使うべきものである。
 ② IT部門が関与し、きちんとCDPを認識して理解しなければならない。

CDPの導入をマーケターが推進する機会が多かったことから「マーケティング部門が管理活用するシステム」ということを強調した結果、不必要な批判から誤解を招いたとRabb氏は語っています。
(「マーケティング部門が管理活用するシステム」という言葉が除かれたお話はまた別の機会に詳しくお伝えします!)

では、「他システムからアクセスが可能で、永続的かつ統一された顧客データベースを作成するパッケージ化されたソフトウェア」とはどういったものを指すのか、掘り下げてみましょう。

1. 他システムからアクセス可能であること

どうでも良いことのように感じるかもしれませんが、これこそがCDPを理解する上での重要なファクターです。
文章をそのまま理解すると、”他システムからアクセスができる”というのは、どのシステムともデータ連携をするものだと思われそうですが、ここでは行間を読んでください。
どういう意味かというと、CDPは顧客データを集め、個々のユーザ情報を統合する事に特化したものであるということです。もっと言ってしまうと、データの活用は別システムが担うべき、というニュアンスも含んでいます。

例えば、MAやWeb接客ツールなどは、目の前の直接的なマーケティング効果やサービスの向上を目的としたデータ活用を主眼として構築されています。
ただこれらのツールは、アウトプットの為に顧客データを限定的に収集しているに過ぎず、本当に顧客一個人の人となり全体を表すような様々なデータを扱う為には設計されていないことがほとんどです。

しかし、CDPはデータの活用を他システムに任せ、クロスデバイス&クロスプラットフォームで顧客情報を「収集し・統合し・蓄積」し、「アクセス可能」とすることに特化するのです。

CDPは統合された顧客データの構築と、それらを他ツールへパスすることを目的に設計されているのです。

2. 永続的で統合された顧客データベース

これは少し曖昧な表現ですが、CDPの中心となる機能にあたるため、CDP研究所の定義をさらに詳しく見てみましょう。

the CDP creates a comprehensive view of each customer by capturing data from multiple systems, linking information related to the same customer, and storing the information to track behavior over time.

「CDPは、複数のシステムからデータを収集し、同一顧客に関連する情報をリンクし、常時顧客の行動を追跡収集しデータを蓄積することによって、顧客の包括的な情報を作成する。」

すこし難解ですね。
簡潔に言うと、”CDPは様々なプラットフォームやデバイスから顧客情報を集め続け、それらを個人単位の情報に統合する”ということです。

パッケージ化されたソフトウェア

パッケージソフトウェアであることが求められるのは、システム開発で必要な技術的なスキルが無くても制御が可能なものであることが必要だからです。

もともとCDPの定義が変更される前は、この文脈に「マーケターが管理するツール」と記載されていました。Rabb氏自身がCDPを説明する際に「パッケージ化されたソフトウェア」と何度も代用して使うようになったことから置き換わりました。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の機能

CDPを名乗るサービスは、例外なく以下の3つの機能を有します。

データを収集する

CDPは、オンライン/オフラインを問わず、複数のシステムから顧客に関するデータを収集し続けます。
オンラインではWebサイト上での行動履歴、スマホアプリのログや位置情報など、SNSなどの他サービスから(正当な権利をもって)収集するデータ、オフラインでは来店ビーコンなどのIoTデータや、自社保有する会員情報、CRMやPOSなどのデータです。

“顧客”に関するデジタルデータは今後増加の一途をたどると考えられます。様々な他システムとの連携ができると共に、今後新たに発生する様々なデータ項目やフォーマットにいかに柔軟に対応できるアーキテクチャを備えるか?がCDPの肝となるでしょう。

データを処理する

様々なシステムから収集したデータは、各システムごとにばらばらにIDが管理される状態にありますが、CDPはそれを一人の顧客データに統合します。これまでは同一人物が『PCで1名、スマホで1名』とカウントされ、別の人物として扱われていたところを、ちゃんと『同一人物』であると識別できるようにしてくれるのです。これは各サービスごとに様々な方式があり、今後の各社の競争ポイントとなると考えられます。

また多くの場合、顧客情報を統合すると同時に、セグメントの割り当てや、LTVの集計など、高速アクセスにするためのインデックス生成が行われます。

データを公開する

この様に収集し処理されたデータを、他システムからアクセス可能な状態として提供します。SQLでのアクセスやAPIなどからのアクセス、もちろんCSVでの出力など様々な方法がありますが、重要な点としては、①収集され、②処理されたデータが、リアルタイムで公開(利用)可能か?といった点です。

今後、顧客の様々な態度変容の瞬間を拾っていくには、1テンポ遅れるだけで致命的です。今この瞬間にどのページに滞在しているのか?今この瞬間にどの店舗に来店したのか?その様なリアルタイムでのデータ提供はCDPの必須機能と言えるでしょう。

他ツール群との大まかな違い

CDPが今ひとつ理解されない理由の1つに、似たようなサービスが多数あることが挙げられます。ご参考までに他サービスとの違いを述べていきたいと思います。

CRMとCDPの違い

CRMは既存顧客に対して主にオフラインの定型のコミュニケーション(郵便物、電話、来店接客etc…)を管理するサービスで、それこそ20世紀から存在する概念です。2000年代になると電子メールなどを含めたインターネットマーケティングの履歴なども含めるよう改良されてきました。

顧客を中心とするサービスの概念では似ていますが、従来のCRMとCDPでは扱う情報が異なります。CRMではオウンドメディアやスマホアプリ上での行動履歴などが取り込まれず、デジタル空間特有の匿名状態の見込み顧客の管理ができません。

CDPは顧客データを収集しリアルタイムに利用可能とすることに特化するため、今後はCRMがCDPのデータを利用する形で連携が進んでいくと考えられます。その意味でも、CDPは次世代CRMの基盤となるサービスなのです。

DMPとCDPの違い

現状日本では語られている「プライベートDMP」は、すでにCDPの意味あいを大いに含んでいるように感じます。そもそも「プライベートDMP」という概念はどちらかというと日本独自に育ったと言え、海外で言うところのDMPとCDPの違いがそのまま当てはまる訳ではありません。DMP、及びプライベートDMPは、ブラウザのCookieを基にWeb上の行動履歴をデータとして蓄積し、それらを一定の条件でグルーピングするなどしてセグメントを設定し、より精度の高いオンライン広告を実現しています。

CDPも同様にWeb上の行動履歴をデータとして蓄積しますが、それだけにとどまらず各種マーケティングツールや、既存のCRMの顧客情報や会員データを取り込み突合させたり、SNSの情報を収集する等、様々な顧客の情報を収集し名寄せする機能を提供します。CDPが提供する統合された顧客データはオンライン広告のみならず、様々な利用方法があると考えられています。

当社のCDP製品である「INTEGRAL-CORE」も、2017年2月当初はプライベートDMPと名乗っていました。ですが、情報の収集と統合とリアルタイム活用に特化する点などから、2017年夏にはCDPというカテゴリ名称に変更いたしました。2018年からは要件を満たすサービスはCDPと名乗るものが多くなっている様です。

MA、Web接客ツールとCDPの違い

MAやWeb接客ツールは、アクション中心に考えられているサービスと言えます。そのために必要な情報の収集に最適化されており、あらゆる顧客情報を永続的に蓄積するには不向きです。今後は裏側にCDPを置きMAやWeb接客ツールがそのデータを利用する、もしくはCDP側がMAやWeb接客ツールからデータをもらう、などの連携が進むと考えられます。

またCDP機能を包含するMAやWeb接客ツールもありますが、そういったツール群は今後は次世代マーケティングスイートやマーケティングクラウドとの覇権をかけて戦うことになるように感じています。CDPはそういったスイート製品とは思想が異なり、各システムとの役割分担を前提として作られています。

EVERRISEのCDP「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」

INTEGRAL-CORE
INTEGRAL-CORE当社EVERRISEも「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」というCDP製品を2017年2月にリリースしています。これまで、公開事例のビデオリサーチ様やターゲットメディア様など含め複数社に導入実績があります。

INTEGRAL-COREの特徴は、やはりリアルタイム性能が挙げられます。CDPという概念では当然備えなければならないリアルタイム処理ですが、既存のプライベートDMP製品ではまだ対応できないサービスが多いように感じています。また、今後増え続けるデータソースに柔軟に対応可能とする設計をしており、理論値では数万~数十万TPSのアクセスを処理できるアーキテクチャで構成され、それを安価に提供可能です。

そして、最も好評いただいているのは、マルチテナント機能です。INTEGRAL-COREの機能を他社に対して提供可能なオプションで、広告代理店様やコンサルティング企業がクライアントに導入いただくケースなどを想定しています。また、OEMの様な形で自社の製品に組み込む事が可能で、INTEGRAL-COREの上に独自のアプリケーションを乗せ、自社サービスとして提供する事も可能です。

まとめ

CDPがDMP、CRM、MAなどと異なる設計思想から生まれていること、それらのツールやシステムと機能的に一部類似していることについて、理解いただけたでしょうか。デジタルマーケティングが進化を続ける過程で、飛躍的に増え続ける顧客データをどう収集・蓄積し、高速に処理をしていくのかはマーケティング活動の大きな課題になると思います。

データ活用方法は課題に応じて様々です。データを活用するには蓄積しないことには始まりません。具体的ではなくても構いませんので、何か課題をお持ちであれば、国産CDPを提供するベンダーとして弊社へお気軽にご相談いただければと思います。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket